執着した挙句の残滓










俺の隣で砂糖のカタマリみてえなもんを幸せそうな顔して頬ばる女が一人。






「おいし〜。ヒル魔くんも一口食べる?」


いるかよそんな甘くせえもん。


「そりゃ甘いけど。食べたら絶対病みつきになると思うんだけどな」


悪気があんのかねえのか知らねえが、その砂糖のカタマリを俺に向けんな拷問だ。


「何がそんなにダメなの?」


知るかよ、とりあえずは吐き気がするようなその匂いだ。


「こんなに美味しいものを食べられないなんてけっこう可哀想」


っつーかそんなもんを好き好んで食う奴の気が知れねえよ俺にとっては。


「甘いものは偉大なのよ?食べてるだけで幸せになれるんだから」








安上がりな女だな。

それはそれは幸せそうにしている女の顔を見て口の中で毒づいた。



だがてめえの幸せとやらは俺に多大な迷惑を被らせてるってのがまったくもってわかってねえ。
好き勝手吐かしてまた満面の笑みで砂糖のカタマリに向かおうとする女の手を捕らえた。





「や、ちょっと、意地悪しないでよ」

抗議をまるで無視して、砂糖のカタマリを握る手を女から離す。


「もー、風味が落ちちゃう!」


この期に及んでまだコイツの心配か。

…あー、吐き気がする。





「食べたいのならそう言えばいいじゃない、」

関心は未だ手の中にある砂糖のカタマリに向いている女のあごを掴んで有無を言わさず口づけた。女が何が起きたのかもわかっていないような表情で固まっているのをいいことに、さらに深く舌を差し込んでやる。

案の定、拷問みてえな甘ったるさが鼻についたが、目を閉じるのも忘れたこの女の間抜け面を見ていたらそんなこともどうでもよくなった。








甘ったるい女の口内を存分に味わってから、顔を真っ赤にしている女の耳元に囁いてやった。


「俺以外の前でそんな顔してんじゃねえよ」







女はさらに耳まで真っ赤にして、握っていた食べかけの砂糖のカタマリを落とした。






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