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17 舌を噛む癖 「…てめえは、毎度毎度どうゆう意思表示だ」 「…それは、こっちの、台詞よ」 「してんだろうが、意思表示」 しれっと言うと男は懲りもせず顔を近付ける。 どうゆう意思表示だ、と悪態をつく暇も与えない。 噛み切る気か。 いけしゃあしゃあとそんなことを返す男に、噛み切られても仕方無いことをしてる自覚くらい持て、と思う。 人の意思を汲もうともしない男の意思など、汲んでやる義理なんてあるわけがない。 唇にまたしても生ぬるい感触。 目眩がする。 そして当然のように押し入って来る、舌。 これこそ、どんな意思表示だというのだ。 男の首に手を伸ばす。 どうせ二枚舌なら、いっそ一枚なくなったくらいがきっと丁度いい。 (舌を噛む癖) 18 生温い自殺願望 この世に全てを貫く矛などなく、この世には全てを防ぐ盾などなく。 「『矛盾』とはよくいったものね」 ヒル魔くんに勝てる気はしないけれど正直負ける気はしない。 「俺はてめえを一撃で殺せる『矛』を見つけたぜ」 「あらそう偶然。私もちょうど見つけたところよ、その『矛』を」 「奇遇だな」 「そう、奇遇ね」 「で、用いてみねえのか。俺を殺せるっつーその『矛』を」 「使わないわ。殺したいわけじゃないもの、ヒル魔くんを」 「ほう」 「ヒル魔くんは?使ってみないの」 「まるで使えって言ってるようにも聴こえんな」 「まさか」 「今てめえに死なれちゃ後が面倒だ」 「そう」 「でもヒル魔くん、私はたぶんヒル魔くんの『矛』じゃ死ぬ気はしないわ」 「奇遇だな、俺も死ぬ気はしねえ」 「本当、奇遇ね」
(生温い自殺願望)
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