07 吐露した感情を受け止める術があるのかどうかに思いをめぐらせる無駄


「ね、ちょっと待って!どうしたの?」
「どこ行くの?」
「手、痛いんだけど」
「あのね、聞いてる!?」

「能天気な面晒してふらふらしてんじゃねえよ」
「なっ、やっと口聞いたと思ったらいきなりそれ!?誰もふらふらなんかしてません、ポスターだってちゃんと貼り終わりました!! さっきだって別に遊んでたわけじゃなくてちょっと用があるからって呼ばれただけです! なのにヒル魔くんがいきなりあんな事するから、あの人、怯えてたじゃない」
「脅迫手帳使わなかっただけ有難いと思え」
「ていうか、なんでそんなに不機嫌なの?」
「知るか」
「だから、手痛いってば、」

いっそどこかに繋いどくか、このまま。


(吐露した感情を受け止める術があるのかどうかに思いをめぐらせる無駄)







08 類似品を知っている


「疲れると欲しくなるのよね」
「あー」
「でもまあいつだって食べたいとは思うけど」
「ほー」
「それに幾らでも食べられるし。全然飽きが来ないんだもの、相当好きな証拠よね」
「…あー」

喜々としながら語る女を横目に思う。
当て嵌まる、のかこれは。
疲れると欲しくなって、いやその気になりゃ四六時中喰っても飽きが来ないもの。

「おい」
「なあに?ヒル魔くんも食べたくなった?」

未だ甘ったるいブツを握った女が振り向く。
ああ。

「そうだな」

(類似品を知っている)







03 廊下は恐ろしいことにあなたへ続いている


これは、篭城、とでもいうのだろうか。
無人の教室が砦とは、なんて頼りない。

立て篭もったところで事態は収拾出来るはずもない。
もしかしたら、悪化の一途をたどるだけの対処法なのかもしれない。
だが他に対抗出来る術は無いのだ。
自滅覚悟?
そんなことが出来るならこんなところで篭城なんてするわけない。
今やモップを持ちだしたところで、それは武器どころか盾にもならない。
悪魔の武器は、その口から出る言葉、それ全てなのだ。


どうしよう。
どうしようも、ない。

弾き出される結論に頭を抱える。
彼此どれくらいの時間が経った?
篭城なんて援軍の望みがあって始めて意味を成す。
勿論、援軍なんて存在しない。

初めから絶望的。
分かっているのだ既に。
それこそこれは悪魔の策略。



それでも、ここに立て篭もるしかないのだ私には。

あの悪魔の高笑いが響く限りは。


(廊下は恐ろしいことにあなたへ続いている)